短い答え: 2026年10月時点の日本版FGOには、ギリシャ神話の人物を元ネタとするサーヴァントが29騎います(同じ人物の別クラスは1騎と数えます)。ヘラクレス、メドゥーサ、アキレウス、イアソンのような大英雄から、ミノタウロスの本名を名乗るアステリオス、冥界の告げ口屋アスカラポスまで、ほとんどが原典の中でお互いにつながっています。
ここではゲーム内の設定ではなく、ホメロスやアポロドロス、オウィディウスといった原典で、その人物が何をしたのかを物語ごとに並べます。

短い答え: 2026年10月時点の日本版FGOには、ギリシャ神話の人物を元ネタとするサーヴァントが29騎います(同じ人物の別クラスは1騎と数えます)。ヘラクレス、メドゥーサ、アキレウス、イアソンのような大英雄から、ミノタウロスの本名を名乗るアステリオス、冥界の告げ口屋アスカラポスまで、ほとんどが原典の中でお互いにつながっています。
ここではゲーム内の設定ではなく、ホメロスやアポロドロス、オウィディウスといった原典で、その人物が何をしたのかを物語ごとに並べます。
まずは、金羊毛を求めてアルゴー船で旅立った英雄たちと、その周りの人物です。
| サーヴァント | クラス | 神話では |
|---|---|---|
| ヘラクレス | バーサーカー | ゼウスの子。ヘラに狂気を送られてわが子を殺し、その償いに十二の功業に挑む。アルゴー船にも乗り込む |
| イアソン | セイバー | アルゴー船の船長。王位を奪った叔父ペリアスに命じられ、世界の果ての金羊毛を取りに行く |
| メディア、メディア〔リリィ〕 | キャスター | コルキスの王女メデイア。魔術でイアソンに金羊毛を手に入れさせるが、のちに捨てられ、エウリピデスの悲劇ではわが子を手にかける |
| アタランテ、アタランテ〔オルタ〕 | アーチャー、バーサーカー | 雌熊に育てられた女狩人。カリュドンの猪狩りで最初に矢を当て、アポロドロスはアルゴー船の乗員にも数える |
| ディオスクロイ | セイバー | 人間の子カストルと、ゼウスの子で不死のポリュデウケスの双子。カストルが死ぬと、ポリュデウケスは自分の不死を分け合い、二人で一日ずつ天と地下で過ごす |
| ヒッポリュテ | ライダー | 軍神アレスの娘で、アマゾネスの女王ヒッポリュテー。ヘラクレスの第9の功業で、アレスから贈られた帯を求められる |
| キルケー | キャスター | 太陽神ヘリオスの娘で、メデイアのおば。のちに『オデュッセイア』でオデュッセウスの部下を豚に変える魔女 |
| ケイローン | アーチャー | 不死のケンタウロスで、イアソン、アキレウス、アスクレピオスを育てた師。ヘラクレスの毒矢で癒えない傷を負い、不死を手放す |
| アスクレピオス | キャスター | アポロンの子で、ケイローンに育てられた医術の神。死者まで蘇らせたためゼウスの雷に打たれ、へびつかい座になる |
| サーヴァント | クラス | 神話では |
|---|---|---|
| アキレウス | ライダー | 海の女神テティスの子で、ギリシャ方最強の戦士。不死の馬に引かせた戦車で戦い、パリスの矢に倒れる |
| ヘクトール | ランサー | トロイアの王子で総大将。アキレウスに討たれ、遺体を戦車で引きずられる |
| パリス | アーチャー | トロイアの王子。ヘレネーを連れ去って戦争の火種となり、アポロンの導きでアキレウスを射る |
| ペンテシレイア | バーサーカー | アレスの娘でアマゾネスの女王。アポロドロスの伝える一説では、誤って姉妹ヒッポリュテを殺してトロイア王プリアモスに清めを受け、トロイア方で戦ってアキレウスに討たれる |
| オデュッセウス | ライダー | イタケの王。木馬の計略でトロイアを落とし、十年かけて故郷に帰る |
ギリシャ軍とトロイア軍の全体像はトロイア戦争の登場人物一覧に、アキレウスとヘクトールの比較はアキレウスとヘクトールにまとめています。
| サーヴァント | クラス | 神話では |
|---|---|---|
| メドゥーサ、ゴルゴーン | ライダー、ランサー、セイバー、アヴェンジャー | ゴルゴン三姉妹のうち、ただ一人不死ではない。見た者を石に変え、ペルセウスに首を斬られる。オウィディウスでは、もとは美しい髪の乙女だった |
| エウリュアレ | アーチャー | 三姉妹の一人で、不死の身。姉妹メドゥーサの死を悼む叫びが、笛の調べのもとになったとピンダロスは歌う |
| ステンノ | アサシン | 三姉妹の一人で、同じく不死 |
| アンドロメダ | ライダー | エチオピアの王女。母の自慢のせいで海の怪物の生贄にされ、ペルセウスに救われて妻になる。ヘラクレスの曾祖母でもある |
| サーヴァント | クラス | 神話では |
|---|---|---|
| エウロペ | ライダー | 白い牡牛に化けたゼウスに乗せられてクレタ島に渡った王女。ミノス王の母で、ゼウスは島の番人として青銅の巨人タロスを彼女に与えた(アポロニオス) |
| アステリオス | バーサーカー | 迷宮に閉じ込められたミノタウロスの本名。王妃パシパエと牡牛の子 |
| ダイダロス | バーサーカー | アテナイの名工。ミノス王のために迷宮を造り、息子イカロスと翼で脱出する |
| テセウス | セイバー | アテナイの英雄。王女アリアドネの糸を頼りに迷宮へ入り、ミノタウロスを倒す |
ミノス王の母エウロペ、王妃が産んだアステリオス、彼を閉じ込めた迷宮の作り手ダイダロス、そして彼を倒したテセウス。クレタの物語の主要人物が、そろってサーヴァントになっているわけです。同じアステリオスの名は、ダンまちの神様元ネタ一覧で紹介した黒いミノタウロスも名乗っています。
| サーヴァント | クラス | 神話では |
|---|---|---|
| デメテル | ランサー | 穀物の女神。冥界に連れ去られた娘ペルセポネを探して地上をさまよう |
| アスカラポス | アルターエゴ | 冥界の河神アケロンの子。ペルセポネが冥界の柘榴を食べたと告げ口して罰を受け、オウィディウスではミミズクに変えられる |
| オリオン、超人オリオン | アーチャー | 海の上を歩けた巨人の狩人。アルテミスの狩り仲間で、彼女の矢、あるいはさそりの毒で死に、星座になる |
| アストライア | ルーラー | 正義の女神。オウィディウスでは、血に染まった地上を神々のなかで最後に去る |
| カイニス | ランサー、ライダー | 乙女カイニスはポセイドンに辱められたあと、男にしてほしいと願って傷つかない戦士カイネウスになり、ケンタウロスとの戦いで木々の下に埋められる |
| ガラテア | バーサーカー | キプロスの王ピグマリオンが彫った象牙の像で、アプロディーテーが命を吹き込む。オウィディウスは名前を書いておらず、ガラテアの名は後世のもの |
| テュフォン・エフェメロス | プリテンダー | 名前は、ゼウスと戦った最大の怪物テュポンから |
このほか、ギリシャ神話を出典の一部に持つ英霊もいます。ネモ(ライダー)は、海の神トリトンと、ヴェルヌの『海底二万里』のネモ船長が合わさった存在です。トリトンはポセイドンとアムピトリテの息子で、オウィディウスでは法螺貝を吹いて大洪水の水を引かせます。アムール〔カレン〕(ルーラー)は、愛の神エロース、ローマ名アモルを宿した擬似サーヴァントです。
北欧神話の英霊は、おもに竜殺しシグルズの伝説と、オーディンに仕える戦乙女や運命の女神から来ています。
| サーヴァント | クラス | 神話では |
|---|---|---|
| ブリュンヒルデ | ランサー、バーサーカー | 戦乙女ブリュンヒルド。オーディンに逆らって眠らされ、目覚めさせた英雄と愛を誓うが、忘れ薬と姿を変える策略で引き裂かれ、彼の死を招いたあとで後を追う(『ヴォルスンガ・サガ』) |
| シグルド | セイバー | 竜ファフニルを名剣グラムで倒した英雄シグルズ |
| ワルキューレ(スルーズ、ヒルド、オルトリンデ) | ランサー、アサシン | 戦死者を選ぶ乙女たち。スルーズとヒルドはエッダ『グリームニルの歌』のワルキューレの名で、オルトリンデはワーグナーの楽劇『ワルキューレ』の名 |
| スカサハ=スカディ | キャスター、ルーラー | ケルトの女戦士スカサハと、北欧の巨人の娘で狩りとスキーの女神スカディを重ねた存在 |
| ウルズ | アーチャー | 運命の女神ノルンの一人ウルド。過去を司り、世界樹の根元のウルドの泉のほとりに住む |
ジークフリート(セイバー)とクリームヒルト(バーサーカー、ライダー)は、同じ伝説のドイツ版『ニーベルンゲンの歌』の側の英霊で、クリームヒルトは北欧版のグズルーンにあたります。シトナイ(アルターエゴ)は、アイヌ神話、北欧神話、フィンランド神話などを出典に持つ複合的な英霊です。
エジプト勢は神ではなく、王たちです。エジプトの神々そのものは、2026年10月時点でサーヴァントになっていません。ただし歴代のファラオは「ラーの息子」を称号にしていました。
| サーヴァント | クラス | 歴史と伝説では |
|---|---|---|
| オジマンディアス | ライダー | 新王国の大王ラムセス2世のギリシャ語名。アブ・シンベル神殿を建てた |
| ニトクリス、ニトクリス〔オルタ〕 | キャスター、アサシン、アヴェンジャー | ヘロドトスが伝える伝説の女王。兄の仇を地下の広間の宴に招き、ナイル川の水を流し込んで溺れさせる |
| プトレマイオス | アーチャー | アレクサンドロス大王の将軍から、エジプトのファラオになったプトレマイオス1世。プトレマイオス朝を開く |
| クレオパトラ | アサシン | その子孫で、プトレマイオス朝最後の女王、クレオパトラ7世 |
| ツタンカーメン | アーチャー | 若くして亡くなった新王国の王。墓は1922年にほぼ手つかずで見つかった |
FGOの元ネタを本で読むなら、トロイア戦争はホメロスの『イリアス』と『オデュッセイア』、アルゴー船はアポロニオスの『アルゴナウティカ』、メドゥーサやカイネウスやガラテアはオウィディウスの『変身物語』、全体の見取り図はアポロドロスの神話集『ビブリオテーケー』です。入門書の選び方は神話のおすすめ本に、映画から入るならノーラン版『オデュッセイア』と原作の違いにまとめています。
聴いて学べる神話アプリMythologyNowでは、ここに並んだ英雄の多くを、1話5分の朗読で物語として聴けます。イアソン、メデイア、ヘラクレスが登場するイアソンとメデイアは全8章で、第1章では片方のサンダルをなくしたイアソンが叔父ペリアスの前に現れます。ほかにもペルセウス、ミノタウロス、イーリアス、オデュッセイア、北欧の竜殺しのシグルズがあります。どれも第1章は、このサイトで最後まで再生できます。
2026年10月時点の日本版で、ギリシャ神話の人物そのものが英霊になったサーヴァントは29騎です。メドゥーサやアタランテ、カイニスのように別クラスで複数いる人物は1騎と数え、アレキサンダー(イスカンダル)のような歴史上の人物は除いています。トリトンと合わさったネモや、エロースを宿したアムール〔カレン〕のように、ギリシャ神話を出典の一部とする英霊は、この29騎とは別にいます。
神話の上では同じメドゥーサです。ヘシオドスはメドゥーサを、不死の姉妹ステンノとエウリュアレと並ぶゴルゴン三姉妹の一人とし、三人のうちメドゥーサだけが死すべき身だったと書いています。ゴルゴンは三姉妹をまとめて呼ぶ名前で、蛇の髪と石化の視線を持つ怪物としてのメドゥーサを指すときにも使われます。
ミノタウロスの本名です。アポロドロスは、クレタの王妃パシパエが牡牛との間に産んだ子をアステリオスと呼び、それがミノタウロスと呼ばれたと書いています。名前はギリシャ語で「星の」という意味で、パシパエは太陽神ヘリオスの娘なので、ミノタウロスは太陽神の孫にあたります。
本当です。アポロドロスによれば、テティスが去ったあと、父ペレウスは幼いアキレウスをケンタウロスのケイローンに預け、ケイローンは獅子や猪の内臓と熊の骨髄で彼を育てました。『イリアス』にも、アキレウスがケイローンから薬の知識を教わったという言葉があり、イアソンやアスクレピオスも同じケイローンの弟子です。