
シノンは、わざとトロイア人に捕らえられ、周到に練り上げたひとつの嘘で木馬を城内へ引き入れさせたギリシャ人である。十年の包囲でも落ちなかったトロイアは、彼の作り話によってひと晩で陥落する。
最も詳しく伝えるのはウェルギリウス『アエネーイス』第2巻である。ギリシャ軍は陣営を引き払い、艦隊をテネドス島の陰に隠し、浜辺に木馬を残して姿を消す。羊飼いたちに縛られてプリアモスの前へ引き出されたシノンは、追われる逃亡者を演じる。自分はオデュッセウスの讒言で破滅したパラメデスの友であり、帰国の船出に人間の生贄を求める神託が下ると、オデュッセウスに迫られた予言者カルカスに名指しされた。出航のときイピゲネイアの血が求められたのと同じように、というのである。祭壇から逃れて沼にひと晩身を潜めていたと涙ながらに語る彼を、プリアモスは哀れんで縄を解かせる。
続いてシノンは木馬の意味を説く。オデュッセウスとディオメデスがアテナの神像パラディオンを盗んだ罪を償う奉納物であり、城門を通れないようわざと巨大に造られた。城内に入れば木馬がトロイアを守り、戦いの矛先はギリシャへ向かうからだ、と。すでに木馬の脇腹へ槍を突き立てていたラオコオンが、海から現れた二匹の大蛇に息子たちもろとも絞め殺されると、トロイア人はそれを証と受け取り、自ら城壁を崩して木馬を運び入れる。カッサンドラの警告に耳を貸す者はいない。
その夜、ウェルギリウスではシノンがひそかに木馬の閂を外し、中に潜んでいた戦士たちを解き放つ。より古いギリシャの伝承、すなわちプロクロスが要約を残した失われた叙事詩『イリオンの陥落』やアポロドロスでは、テネドスの艦隊を呼び戻す烽火を上げるのが彼の役目である。クイントゥス・スミュルナエウスは、トロイア人に耳と鼻を削がれてもなお彼が嘘を貫いたと伝える。ダンテ『神曲』地獄篇第30歌では、偽りを語った者として第八圏の最後の濠に置かれ、熱病に焼かれながら贋金造りと殴り合っている。

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トロイアの陥落
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よくある質問
- シノンとは誰ですか?
- シノンは、わざとトロイア人に捕らえられ、周到に練り上げたひとつの嘘で木馬を城内へ引き入れさせたギリシャ人である。十年の包囲でも落ちなかったトロイアは、彼の作り話によってひと晩で陥落する。
- シノンはどの神話に属しますか?
- シノンはギリシャ神話に属します。
- シノンはどの物語に登場しますか?
- シノンはトロイアの陥落に登場します。MythologyNowでは、章立てのオーディオドラマとして聴けます。
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MythologyNow. (2026). シノン. https://www.mythologynow.app/ja/gods/sinon"シノン." MythologyNow, 2026, https://www.mythologynow.app/ja/gods/sinon.MythologyNow. "シノン." Accessed 2026. https://www.mythologynow.app/ja/gods/sinon.
